名古屋高等裁判所 平成10年(ネ)538号 判決 1999年9月16日
名古屋市<以下省略>
控訴人
X1
右代表者代表取締役
A
名古屋市<以下省略>
控訴人
X2
右代表者代表取締役
A
右両名訴訟代理人弁護士
織田幸二
東京都千代田区<以下省略>
被控訴人
日興證券株式会社
右代表者代表取締役
B
右訴訟代理人弁護士
石原金三
同
花村淑郁
同
杦田勝彦
同
石原真二
同
林輝
主文
一 原判決を次のとおり変更する。
二1 被控訴人は、控訴人X2に対し、一一三二万〇二二二円及び内金一〇四四万〇二二二円に対する平成三年一一月二三日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
2 被控訴人は、控訴人X1に対し、一〇二五万三七三七円及び内金五七六万六七三七円に対する平成三年一一月二三日から、内金四四八万七〇〇〇円に対する平成一一年六月一一日から各支払済みまで、いずれも年五分の割合による金員を支払え。
3 被控訴人は、控訴人X1に対し、原判決別紙株券目録記載の株券を引き渡せ。
4 控訴人らのその余の請求をいずれも棄却する。
三 訴訟費用は、第一、二審を通じてこれを四分し、その一を被控訴人の、その余を控訴人らの各負担とする。
四 この判決は、主文第二項の1及び2に限り仮に執行することができる。
事実及び理由
第一当事者の求める裁判
(控訴人)
一 原判決を取り消す。
二 被控訴人は、控訴人X2に対し、四〇二三万七六五一円及び内金三五九九万七六五一円に対する平成三年一一月二三日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
三 被控訴人は、控訴人X1に対し、四一〇六万八〇六五円及びこれに対する平成三年一一月二三日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
四 被控訴人は、控訴人X1に対し、原判決別紙株券目録記載の株券を引き渡せ。
五 訴訟費用は、第一、二審とも、被控訴人の負担とする。
四 第二項、第三項につき、仮執行宣言。
(被控訴人)
一 本件控訴をいずれも棄却する。
二 控訴費用は控訴人らの負担とする。
第二当事者の主張
当事者の主張は、次のとおり付加・訂正するほか、原判決の「事実及び理由」の「第二 事実関係」に摘示されたところと同一であるから、これを引用する。
1 原判決一四頁九行目の「同原告は、」の次に「本件担保株券を返還すべき日である平成三年一一月二二日にその処分ができず、その後これらの株価が下落したことから、」を加える。
2 同一六頁九行目の末尾に「ただし、本件担保株式の平成三年一一月二二日と同九年二月一二日の価格が控訴人X1主張のとおりであることは認める。」を加える。
3 同別紙計算書六行目の「建玉を仕切った日」を「被控訴人と控訴人X1との取引が終了した日」と改める。
第三当裁判所の判断
一 本訴請求原因事実中、ブラザー販売ワラント1についての断定的判断の提供及びサンゲツ株式の無断売買とこれに伴う担保株券の返還と損害賠償請求については後に判断するとおりであるが、これらを除くその余の請求原因に対する当裁判所の判断は、次に加除・訂正するほか、原判決の「事実及び理由」の「第三 当裁判所の判断」の「一」ないし「三」の説示のうち右該当部分と同一であるから、これを引用する(なお、原判決挙示の「原告ら代表者尋問の結果」はいずれも「原審における控訴人ら代表者尋問の結果」と読み替える。)。
1 原判決一八頁六行目の「成立」を「設立」と改める。
2 同二五頁二行目から三行目にかけての「CがAに対し、ワラントの説明をした時には、」を「CがAに対し、ワラント購入の勧誘をした時には、」と改める。
3 同二六頁八行目の「別表一1ないし3」を「別表一1及び2(同3のワラントについては後に判断する。)」と改め、同一〇行目の「述べ」から同二七頁一行目の「あった等と」までを削り、同六行目の「情報」の次に「(ただし、内部情報や虚偽説明を除く。)」を加える。
4 同二八頁一行目の「本件一の取引」を「本件一の1及び2の取引」と改める。
5 同二九頁七行目冒頭から同三〇頁五行目末尾までを削る。
6 同三一頁一〇行目及び同三二頁二行目の各「別表二1ないし5」をいずれも「別表二1ないし4(同5のワラントについては後に判断する。)」と改め、同四行目の「述べ」から同六行目の「あった等と」までを削る。
7 同三三頁二行目の「その前提を欠くことになる」を「甲第一〇号証の供述記載及び原審及び当審における控訴人ら代表者尋問の結果にはこれに沿う部分があるが、証人Cの証言に照らして措信できない。」と改め、同三行目冒頭から同六行目末尾までを削り、同七行目の「(四)」を「(三)」と、同八行目の「原告ら代表者尋問の結果」を「原審及び当審における控訴人ら代表者尋問の結果」とそれぞれ改める。
8 同三五頁一行目の「事情」の次に「(Cは、Aから抗議されたことはないと証言し、これに対し、Aは原審における代表者尋問においてCに抗議したと供述しつつ、Cの対応については記憶がないと供述しているが、不自然であり、Cに抗議したとの供述は措信できない。)」を、同二行目の「乙二三号証、」の次に「五〇〇〇株を売却した後に店頭市場で一番人気となったため、これをAに伝えたところ三〇〇〇株の買い注文を受けたとの」をそれぞれ加える。
二 ブラザー販売ワラント1についての断定的判断の提供について
1 甲第四号証、第一〇号証、第一二ないし第一四号証、検甲第一ないし第三号証、原審における証人Cの証言の一部、原審及び当審における控訴人ら代表者尋問の結果並びに弁論の全趣旨によれば、次のとおり認められ、乙第二三号証の記載中及び証人Cの証言中、これに反する部分はいずれも採用できない。
ブラザー販売ワラント1の取引は被控訴人との相対取引であるところ、AはCから平成三年六月右ワラントの購入を勧められ、その購入自体については一応了解してはいたが、購入数量、購入価格につき具体的な合意をしていなかった。それにもかかわらず、Cから同月一七日に右数量、価格を記載したファックス送信(甲第四号証)を受け、Aが、その金額のあまりの大きさに驚き、Cに説明を求めた。
すると、CはAに対し、再三にわたってインサイダー情報ないしインサイダー取引という言葉を繰り返し使用して、日興證券が転促(転換促進)のために買い支える、ブラザー販売の発行済み株式数からすれば五〇万株も買い占めたら、すぐに八〇〇円になる、現在二四パーセントまで買い支えをやっている、大蔵省の規制で三〇パーセントを超えることはできないが、他社から手を廻す、日興證券が三〇ビット持っていくことは一〇〇パーセント間違いない、このことは日興店内でも数人しか知らないことである、こういう会社の情報を客に伝えるのはインサイダー取引だから、絶対言ってはだめだなどと述べて、右ワラントが値上がり確実であると申し向けてその購入を勧めたが、それでもAがワラントは上がる時もきついかわりに下がる時は下がって危険であるといって乗ってこないとみるや、これで損を取り返せる、秋口には三〇ビット間違いない、六〇〇〇万(購入価格)で三〇〇〇万円(利益)はとれる、これまで長きにわたった泥沼が整理できる、一億出して下さい、インサイダーが絡みますから親戚とかには言えないんですが、結婚しないで一人暮らしの叔母にはちょっと買っとけと手を回したなど言い、買い支え情報を繰り返して相当執拗に述べたことから、AはCの勧めた価格数量の右ワラントの購入を承諾し代金支払いに応じた。
Cは、その後の七月一九日にも、これで全部サラ地にします(損を全部穴埋めする)と言って勧誘し、控訴人X1は同年八月二日に右ワラントを買い増ししたのであるが、同年九月二八日に、Aが大量ワラント期限切れで泡と消える、一〇月からブラザーは大丈夫ですかと聞いたところ、Cは、一〇月には笑っていただけますよと答えた。
2 右事実によると、Cの説明は、ブラザー販売ワラント1の発行引受会社である日興證券が、ブラザー販売の株式を買い支えることにより右ワラントの価格を吊り上げ、秋口には三〇ビットまで持っていくから、購入金額の約五割の利益獲得が確実であるという具体的なものである。従って、顧客、とりわけ少しでも有利な情報の提供を求めて損害の回復を図ろうとしていた者にとっては魅力のある高度の内部情報であると理解しうるものである。しかも、Cは、控訴人らがブラザー販売ワラント1の買付けを拒否することを懸念したうえで、その反対動機付けとして買い支え情報を繰り返し、執拗に述べたものであることも明らかであるから、Cの説明、勧誘はワラント取引に伴う危険性についての認識を誤らせる行為であったといわざるをえない。そして、その結果、AはCの説明を信じたからこそ、これらを購入し、代金の支払いをなしたものと認められる。
3 被控訴人は、控訴人が十分な投資経験を有することから、Cの勧誘言辞は特殊、格別な勧誘とは位置付けられず、Aが間違いなく値上がりするものと信じたとは考えられないと主張する。しかしながら、前記認定のとおり、Cは利益が確実視される理由をインサイダー情報と称して具体的かつ詳細に述べており、なかでも、幹事会社による買い支えなどという一般に知られていない内部情報は、相当程度の取引経験を有する者にとっても投資判断を歪められることが明らかであるから、被控訴人の主張は採用の限りではない。
また、被控訴人は控訴人がテープ録音をしたこと自体を問題視しているようであるが、Cは、原審における証人尋問において、インサイダーという言葉を使ったこと、日興證券が転促(転換促進)のために買い支えるとか、六〇〇〇万(購入価格)で三〇〇〇万円(利益)はとれると言ったことは概ね認めており、大筋において右録音内容を否定していないところである。
4 右認定の別表一及び二のブラザー販売ワラントーについてのCの勧誘行為は、いずれも証券取引法五〇条一項一号の、有価証券の価格が騰貴することの断定的判断を提供して勧誘する行為に該当し、同法に違反するのみならず、社会的相当性をも逸脱して私法上も違法な侵害行為であったといわざるをえない。
5 したがって、被控訴人はCの使用者として右取引によって控訴人らの被った損害を賠償する義務がある。
三 サンゲツ株式の無断売買について
控訴人X1が被控訴人に対し、被控訴人との証券取引上発生する債務の担保として、本件担保株券を差し入れたことは当事者間に争いがないところ、同控訴人は、サンゲツ株式の信用取引は無断売買であるから、右取引により発生したとされる金一五一二万七八三〇円の損失は控訴人に帰属しないと主張して預託株券の引渡を求め、これに対し、被控訴人は、抗弁として承諾のある売買がなされたと主張している。そして、乙第一号証、第四四号証の一ないし六によれば、被控訴人において原判決抗弁欄記載の取引がなされたとして処理されていることが認められる。しかしながら、控訴人ら代表者は、原審及び当審における尋問において右取引は無断でなされたこと、そして、平成三年七月一二日信用保証金として二五二万円を小切手で入金したのは、事後処理をしやすくするため、とりあえず、一旦入金して欲しいとのCの依頼に従ったものであり、Cから平成三年七月一九日に「買いの取消しを行いました」と記載した書面(甲第六号証)を受け取り、さらに、右取消が実際にはなされていなかったことから、同年九月一九日には「サンゲツ一万七〇〇〇株、取消しの作業を進め保証金の返済を行います」と記載した書面にCの署名をとっている(甲第七号証)と供述している。これに対し、Cは、右書面は右株式の値下がりをAに責められて、やむなくその要求に従い、その場を取り繕うため書いたにすぎない、なぜ書いたか思い出せないが、売り言葉に買い言葉で書いたと証言している。
そこで検討するに、甲第六号証、第七号証、第一三号証、第一四号証、検甲第二、第三号証、原審における証人Cの証言の一部、原審及び当審における控訴人ら代表者尋問の結果並びに弁論の全趣旨によれば、次のとおり認められ、乙第二三号証中及び証人Cの証言中、これに反する部分はいずれも採用できない。
Aは平成三年七月一九日に被控訴人名古屋支店を訪れ、Cと面談したところ、Cは「買いの取消しを行いました」と記載した甲第六号証を差入れ、サンゲツ、大同鋼をマル(取消し)にした、(取消しを)申請したと自ら進んで話し、さらには、大同鋼、サンゲツ、参天(製薬)をマル(取消)にしたことは上司の部長に報告したと述べている。しかも、Cは甲第六号証に「買いの取消しを行いました」と記載したのであって、今後取消をすると記載したのではないことからすると、Aから取消しを強要されたとは認められず、かつ、原審における証人尋問において一旦は「売買注文をもらっていなかったかもしれません」と証言しているところである。同人は、その後、自己玉を引受けて貰ったなどと弁解をしているが、措信することはできない。
これらの事実からすると、同控訴人の主張するとおり、サンゲツ株式の信用売買は無断でなされ、Cはそのことを追及されたが故にそれを是正することを示す態度をとったものと判断されるところである。この点につき、Cは、実際には上司に報告していなかったと認められるのであるが、無断取引でないのに顧客から取消を要求されたのであれば、当然上司に報告するはずであるから、これも控訴人らの主張を裏付ける事実である。もっとも、Cは、実際には、大同鋼ワラントは取り消し(受領していた代金を返還した。)、サンゲツと参天製薬については取り消しの手続をせず、参天製薬は利益を出して決済されているが、これはCが無断売買をした後も、時間を稼いで取り消しを遷延させながら、偶々利益が出た建株を仕切ったにすぎないと認められ、右判断を左右するものではない。
2 以上からすると、抗弁は認められず、被控訴人は控訴人X1に対し、本件担保株券を返還する契約上の義務があるから、同控訴人の被控訴人に対する、本件担保株券の返還請求は理由がある。
四 損害
1 前示のとおり、ブラザー販売ワラント1の取引について、その購入代金、売却代金、損失額は別表一及び二のとおりであることは当事者間に争いがないから、Cの違法な勧誘行為により、控訴人X2は二〇八八万〇四四四円相当の、控訴人X1は一〇五三万三四七四円相当の損害を被ったものである。
2 控訴人X1は、本件担保株券を返還すべき日である平成三年一一月二二日にその処分ができず、その後これらの株価が下落したとして、下落分相当額の損害賠償を請求する。
そこで検討するに、物件の返還請求において、現物が返還された場合においても、右物件の価格が下落したことより、返還請求者が損害を被ったときは、その賠償を求めることができるところである。勿論、右物件の価格下落による損害は、該物件を売却しなければ完全には確定できないから、物件が返還された以上、その売却前には損害が生じていないのではないか、したがって、返還請求中の物件については返還を受けたのちにこれを売却して初めて損害が確定するのではないかとの疑問がある。しかし、返還請求権者が、売却しようにも返還義務の遅滞により売却ができなかった場合にも損害の発生を否定することは、その時点で発生している損害を看過し、債務不履行の効果を無視するもので相当ではないというべきである。もっとも、控訴人X1は売却益の喪失を明確には主張せず、ただ、返還を求める株式の株価が下落したというのみである。しかし市場ないし店頭で売買される株式の価格は、右市場等での取引価格であって、それ以外のものではなく、一方、転売による利益喪失もこの市場等価格による取得額と売却額との差額である。即ち、同控訴人が主張する株価の下落分という損害も、右差額に他ならないのである。ただ、現実に売却しない限りは、この額を絶対的に確定することができないにすぎず、かつ、このことにより、損害の発生を全面的に否定することの相当でないことは前記のとおりである。そうすると、返還請求権者は、当該株式を売却する意思を有していながら、売却したくても売却できなかったときには、株券の返還と同時に、返還すべき時期の価格と口頭弁論終結日における価格との差額(下落分)を損害として賠償請求できると解すべきである。
そこで、本件についてこれを見るに、同控訴人は、長年にわたって株式を含む証券取引を行っており、本件担保株式もいずれ売買する意思で所有してきたことは明かであるところ、平成三年一一月二二日には被控訴人と同控訴人間の取引が終了したことは被控訴人においても明らかに争わないから、翌二三日には被控訴人にその返還義務が発生したものである。そして、本件担保株式の平成三年一一月二二日と同控訴人が右損害賠償を求めた直前である平成九年二月一二日の各株価が同控訴人主張のとおりであることは、当事者間に争いがない。とすると、その株価下落額は同控訴人請求のとおり四四八万七〇〇〇円となる。ところで、本件の口頭弁論終結日は平成一一年六月一〇日であるが、本件担保株式の同日ないしはその直前の株価についてはこれを明らかにする証拠はないから、その意味で、その損害額については立証がないともいえるのであるが、一件記録によれば、本件口頭弁論終結後である同年七月二八日には、前記平成九年二月の価格よりさらに下落し、その差損は約七九〇万円にのぼっていることが窺われることからすると、本件口頭弁論終結日における価格は、やはり平成九年二月の価格よりも下落していたと推認すべく、同控訴人において、請求損害額を前記限度に止めているのであるから、本件担保株式の価格下落による損害賠償については同控訴人請求どおりに認めるのが相当である。
3 過失相殺
前示のとおり、控訴人らは、Cの断定的判断の提供の不法行為により、前示1記載の損害を被ったが、他方、本来、株式やワラントの取引において市場価格の変動を確実に予測することは基本的に困難であり、Aも右の事情を長年の投資経験から知っていたと認められるところ、株式等の証券取引で損失を被った経験を有していたことからしても、本件ブラザー販売ワラント1取引により、場合によっては損失を被るおそれがあることは予測すべきであったし、その能力もあったはずである。更に、Aは、Cに対して、損害の回復を求め、そのため自己にのみ有利な情報の提供を求めていたことは前記認定のとおりであるところ、Cの前記説明はAの右要求に迎合した結果であるとも窺われるところである。いずれにせよ、控訴人らとしては、ブラザー販売ワラント1の勧誘を受けた時点で、Cからの情報にのみ依存することなく、広く情報の収集に努めて、最終的には自らの判断で投資するか否かを決すべきであった。しかるに、控訴人らはそれまでの損失の回復に気をとられてか、右の点に十分意を尽くすことなく、Cからの情報を過信して右ワラントを購入したものである。
そこで、Cの義務違反の程度や控訴人らの対応等本件に顕れた一切の事情を考慮すると、控訴人らの過失割合をいずれも五割とするのが相当であるから、前示1の損害額から、右五割の過失割合を控除すると、控訴人X2については一〇四四万〇二二二円、控訴人X1については五二六万六七三七円となる。
4 弁護士費用について
本件事故と相当因果関係のある弁護士費用の額は、控訴人X2については八八万円、控訴人X1については五〇万円と認めるのが相当である。
五 以上のとおりであるから、控訴人X2の被控訴人に対する、損害賠償請求は、一一三二万〇二二二円及び内金一〇四四万〇二二二円に対する不法行為の日以後の日である平成三年一一月二三日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を求める限度で、控訴人X1の被控訴人に対する、同損害賠償請求は、一〇二五万三七三七円及び内金五七六万六七三七円に対する不法行為の日以後の日である平成三年一一月二三日から、内金四四八万七〇〇〇円に対する本件口頭弁論終結日の翌日である平成一一年六月一一日から各支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金と本件担保株券の引渡を求める限度でそれぞれ理由があるが、その余の請求はいずれも理由がない。
六 よって、これと一部異なる原判決を変更し、控訴人らの請求を前記限度で正当として認容し、その余の請求をいずれも棄却することとし、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 宮本増 裁判官 野田弘明 裁判官 永野圧彦)